第十二回
■解説
かつてあの女(ひと)が描いて見せた黄昏の魅惑に
再び相まみえることが出来るのなら、
譬(たと)へば それが天国でも地獄でも 一向構はぬ
嵐を孕む鈍(にび)色(いろ)の空の下で
身動ぎもせず、おれはただ待つ…
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惡の華の解説
かつてあの女(ひと)が描いて見せた黄昏の魅惑に
再び相まみえることが出来るのなら、
譬(たと)へば それが天国でも地獄でも 一向構はぬ
嵐を孕む鈍(にび)色(いろ)の空の下で
身動ぎもせず、おれはただ待つてゐる
もはや 足掻いたり騒いだりすることに
何の意味もないことは 厭と謂ふほど承知の上だ
おれはただ、あの眩暈のするやうな混沌の季節の中へ
もう一度呑まれたいと切に願ふのだ。